○本宮市子ども・若者ケアラー支援の推進に関する条例

令和5年12月14日

条例第27号

(目的)

第1条 この条例は、子ども・若者ケアラーに対する支援(以下「ケアラー支援」という。)に関し、基本理念を定め、市の責務並びに保護者及びその家族、学校、市民等、事業者並びに関係機関の役割を明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項を定めることにより、ケアラー支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって次代を担う全ての子ども・若者が、自分の可能性を広げ、よりよい未来を創造することができる環境の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 子ども・若者ケアラー 子ども・若者のうち、高齢、身体上又は精神上の障害、疾病等により援助を必要とする家族その他の身近な人に対して、無償で介護、看護、日常生活上の世話、家事その他の必要な援助を提供する者をいう。

(2) 子ども・若者 40歳未満の者をいう。

(3) ヤングケアラー 子ども・若者ケアラーのうち、18歳未満の者をいう。

(4) 若者ケアラー 子ども・若者ケアラーのうち、18歳から40歳未満の者をいう。

(5) 市民等 市内に住所又は居所を有する者及び市内に在勤し、又は在学する者をいう。

(6) 事業者 市内で事業活動を行う個人及び法人をいう。

(7) 関係機関 介護、障害者及び障害児の支援、医療、教育、児童福祉等に関する業務を行い、その業務を通じて子ども・若者ケアラーに関わり、又は関わる可能性がある機関をいう。

(基本理念)

第3条 ケアラー支援は、全ての子ども・若者ケアラーが個人として尊重され、健康で文化的な生活を営むことができるように行われなければならない。

2 ケアラー支援は、子ども・若者ケアラーに係る負担の軽減又は解消を図るため、市、保護者及びその家族、学校、市民等、事業者並びに関係機関の相互の連携及び協力の下、子ども・若者ケアラーが孤立することのないよう社会全体で支えるように行われなければならない。

3 ヤングケアラーに対する支援は、ヤングケアラーとしての時期が社会において自立的に生きる基礎を培い、人間としての基本的な資質を養う重要な時期であることに鑑み、適切な教育の機会が確保され、かつ、心身の健やかな成長及び自立が図られるように行われなければならない。

4 若者ケアラーに対する支援は、様々なライフイベントが重なる時期において、若者ケアラーが自らの希望に応じて持てる意欲と能力を社会の中で発揮する機会が確保され、かつ、生活の基盤の安定が図られるように行われなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、介護、障害者及び障害児の支援、医療、教育、児童福祉等に関する制度その他ケアラー支援に関わる制度を勘案し、ケアラー支援に関する施策を総合的に実施するものとする。

2 市は、前項の施策を実施するに当たっては、子ども・若者ケアラーの意向を尊重するとともに、保護者及びその家族、学校、市民等、事業者並びに関係機関と相互に連携を図るものとする。

(保護者及びその家族の役割)

第5条 保護者及びその家族は、基本理念に基づき、子ども・若者ケアラーに係る負担が心身の健康に及ぼす影響に気付き、配慮することができるよう、子ども・若者ケアラーについての理解を深めるとともに、その意向を尊重しつつ、年齢や成長に応じた養育や修学又は就業に係る支援に努めるものとする。

2 保護者及びその家族は、市、学校及び関係機関に対して、家庭が抱える困難に応じた助言、情報の提供その他の必要な支援を求めるよう努めるものとする。

(学校の役割)

第6条 学校は、基本理念に基づき、子ども・若者ケアラーに対し、その意向を尊重しつつ、健康状態、生活環境等を確認し、支援の必要性の把握に努めるものとする。

2 学校は、子ども・若者ケアラーからの教育又は福祉に関する相談に応じる体制を整備するとともに、市及び関係機関と連携して適切な支援を行うよう努めるものとする。

(市民等の役割)

第7条 市民等は、基本理念に基づき、子ども・若者ケアラーが置かれている状況及びケアラー支援の必要性についての理解を深め、子ども・若者ケアラーが孤立することのないよう十分配慮するとともに、市が実施するケアラー支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第8条 事業者は、基本理念に基づき、子ども・若者ケアラーが置かれている状況及びケアラー支援の必要性についての理解を深め、市が実施するケアラー支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

2 事業者は、雇用する従業員が子ども・若者ケアラーである可能性があることを認識するとともに、当該従業員が子ども・若者ケアラーであると認められるときは、その意向を尊重しつつ、勤務するに当たっての配慮、情報の提供その他の必要なケアラー支援を行うよう努めるものとする。

(関係機関の役割)

第9条 関係機関は、基本理念に基づき、子ども・若者ケアラーが置かれている状況及びケアラー支援の必要性についての理解を深め、市が実施するケアラー支援に関する施策に積極的に協力するよう努めるものとする。

2 関係機関は、日常的に子ども・若者ケアラーに関わる可能性がある立場にあることを認識するとともに、関わりのある者が子ども・若者ケアラーであると認められるときは、その意向を尊重しつつ、健康状態、生活環境等を確認し、支援の必要性の把握に努めるものとする。

3 関係機関は、ケアラー支援を必要とする子ども・若者ケアラーに対し、情報の提供、適切な他の関係機関への案内又は取次ぎその他の必要なケアラー支援を行うよう努めるものとする。

(広報及び啓発)

第10条 市は、広報活動及び啓発活動を通じて、保護者及びその家族、学校、市民等、事業者並びに関係機関が、子ども・若者ケアラーが置かれている状況、ケアラー支援等に関する知識を深め、社会全体としてケアラー支援が推進されるよう必要な施策を講ずるものとする。

(早期発見)

第11条 市、学校及び関係機関は、子ども・若者ケアラーを発見しやすい立場にあることを認識し、子ども・若者ケアラーを早期に発見するよう努めるものとする。

(ケアラー支援)

第12条 市は、子ども・若者ケアラーが安心して生活することができるよう、子ども・若者ケアラーが担っている過度な家事や家族その他の身近な人の世話等の負担を軽減するための必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、子ども・若者ケアラーの自立に向けた修学、就業等の機会が確保されるよう、必要な施策を講ずるものとする。

3 市は、地域における様々な社会資源を活用し、必要なケアラー支援を行うものとする。

(体制の整備)

第13条 市は、子ども・若者、保護者及びその家族、学校、市民等、事業者並びに関係機関から、子ども・若者ケアラーに関する相談に応じ、必要な支援につなげるための連携体制を整備するものとする。

(人材の確保等)

第14条 市は、ケアラー支援に関する施策を実施するための人材の確保に努めるとともに、市、学校及び関係機関の職員の資質の向上を図るための研修等を行い、人材の育成に努めるものとする。

(財政上の措置)

第15条 市は、ケアラー支援に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(その他)

第16条 この条例に定めるもののほか、ケアラー支援に関し必要な事項は、別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

本宮市子ども・若者ケアラー支援の推進に関する条例

令和5年12月14日 条例第27号

(令和5年12月14日施行)